さらば愛しき女よ(75)/★★★

ハードボイルドとはシニカルゆえに人に優しい人のこと?
さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))
原作を読んだことはないが、犯人はすぐにわかってしまった。
この映画を見る限りハードボイルドとはシニカルゆえに人に優しい人のことらしい。
とにかく会話が洒落ていて見ていて笑ってしまった。

マロイの登場シーンの会話

キングコングサイズの男が寄ってきた〕

「あんたデカかい?」
「いや魔法使いのおばあさんだよ」私は帰ろうとした。
「じゃ私立探偵か?」馬鹿でかい手が肩をつかんだ。「名前なんてんだ?」
「マーロウだよ。あんたは?」
「ムース・マロイ」
「伏せろ」(路上で発砲される)

〔やつはまばたきもしなかった。どでかい体に恐怖は備え付けていなかった。〕

「仕事たのみてえんだ」
「わかった。いまのその撃ってきた二人を探し出せっていうんだろ?」
「ヴェルマを探して欲しいんだ。もう7年会ってねえんだよ。6年たよりがなかった」
「7年間もどこに行っていたんだ」
「ムショ。グレートベント銀行叩いてよ、8万頂いたよ。一人でやったんだ。ちょっとしたもんだろ」
「ああ」
「おれのヴェルマを探してくれ」
「しかしな、6年間も音沙汰無しじゃな」
「訳があんだよ」
「そりゃあるだろうよ。しかしなんだって撃たれた」
「まずフローリアンにいってみようじゃないか。昔ヴェルマが働いていた店だ」
「どんな人かね、そのヴェルマって」
「かわいい娘だ。レースのパンティみてえにかわいい」
「探し甲斐があるな」

〔かなりの道のりをゆっくり歩かされて、ついた所がダウンタウン。その界隈はだいぶ前から住人が入れ替わっているようだった。〕

「上がってみようじゃねぇか。いっぱいやってもいいし。ヴェルマのことがわかるかもしれん」
「まずそいつは無理じゃないかね。黒人の店になっちゃってるから」
「いいから上がってみんだよ」
「わかった、わかった、だけど抱っこはごめんだよ。おれももう大人だからね。一人で歩けるしトイレにも一人で行けるってんだよ」

そのほかに「病院に行ってたの?」「ああ犬猫病院にね」など真面目な顔で冗談をいうので油断ができません。>マーロウ