50回目のファースト・キスコレクターズ・エディション／★★★★★

一見軽いコメディ、しかし実は巧みな計算。そのバランスが絶妙。

ドリュー・バリモアは記憶障害で一晩寝るとすべてを忘れるため、事故のあった日を毎日繰り返す。父と弟は彼女に気づかれまい（気付くと悲しむので）と、涙ぐましい努力をする。しかし彼女に一目ぼれしたアダム・サンドラーが彼女と意気投合した翌日、彼女は彼を忘れていた。そこから毎日、彼女と恋に落ちるきっかけを作っていく。

最近記憶障害の映画が続いているが、これはコメディ仕立てにしたのが新味。毎日出会いを繰り返す発想がすばらしく、実に多くのエピソードが無理なく盛り込まれており、ジョージ・ウィングの脚本はこれがデビューとは思えない出来。

また、コメディでありながら、根底には家族の彼女への思いや、彼の彼女への思いが伝わって全体的に暖かさが包んでいる。それでいて毎日を繰り返す父子のシーンなどはシリアスさも感じさせ、そのバランスが絶妙で、これは監督のピーター・シーガル（「Ｎ.Ｙ.式ハッピー・セラピー」「ロンゲスト・ヤード」）の手腕だろう。

最後に、ドリュー・バリモアとアダム・サンドラーの組み合わせは相性もよく、安心してみることが出来るのも好材料。

繰返しものの傑作では「恋はデジャ・ブ」があり、アイデア的に似ている部分もあるが、「デジャ・ブ」はＳＦコメディなのに対して、こちらはあくまでもリアルなハートウオーミングコメディ。しかしどちらも優劣つけがたいくらいすばらしいと思う。<5/23>なんか名作に思えてきたので★を追加