SUPER 8/スーパーエイト(2011)/★★★★

リスペクトに満ちた"モノマネ"作家?

スピルバーグ的な記号がどっさりと。まるで昔のスピルバーグ映画を観るようだがどこか違う。
いわく、「母と子」ではなく「父と子」のドラマになっている(スピルバーグにそんな映画はない)
いわく、監督少年(たぶんこうありたかったスピルバーグの願望)の家庭の「暖かさ」(そんな暖かい家庭は出てこない)
いわく、理想の「女優」と「両想い」(そんな女の子出てこない)
やはりJJの映画だなと思いました。

ただ、それにしてはエンディングが全く感動しないのはなぜだろうか?空に向かってアレを手放すところなんか大感動シーンのはずなのに。
それよりは、よほどオマケの方が感動したし、凝ってると思う。

これは、JJがタランティーノのような"サンプリング"作家ではなく、リスペクトにあふれた"モノマネ"作家だからじゃないかと思う。
それも半端ない"モノマネ"だから本人と見間違うばかりにそっくりだし、思わず聞き入ってしまうのだが目を開けると本人ではないので途端に覚めてしまう。そんな感覚に近いと思う。

それでも根底にあるのは本人へのリスペクトだから決して嫌味にはならず、似せることへの執着と観察眼は十分評価に値すると思う。

80年代の設定なのだから「ジュラシック・パーク」や「宇宙戦争」のオマージュはかなり違和感が伴うが、年が一回り違うJJからすると一緒くたになってしまうのだろうか?

JJ(と周りのブレイン)がうまいなぁと思うのは、オープニングで無事故記録が1に掛け替えられ、そのまま葬式のシーンへ繋ぐところとか、5人組の1人を残すところ、ヒッピー兄ちゃんの車が無線を積んでいるところなど話の展開がスムーズで巧みなところが実に考えられていると思う。

その割には中だるみの印象もあって111分なのに途中長く感じられた。


ふと、この映画が昨日TVでやっていた、京都嵐山・美空ひばり座で本人そっくりの歌謡ショーを披露してファンの涙を誘った青木隆治の姿に似ていることに気がついた。

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仕事帰りに有楽町マリオンのTOHOシネマズ日劇日劇1で観ることができた。
シネコンでない映画館で観るのはホント久しぶりで、観たのは940席のど真ん中。しかも「アノ大事故」を迫力の大音響で体験できた。
世の中にこれ以上の幸せはないんじゃないか?と思うくらいの幸福感に包まれた劇場体験をさせてもらいました。
ありがとうJJ!ありがとうマリオン!