トロン:レガシー(2010)/★★★★

映画はダメだけど、嫌いじゃない
トロン:レガシー DVD+ブルーレイ・セット [Blu-ray]
この映画がダメなのは開始3分で分るでしょう。
息子に「グリッド」というコンピュータの世界の事を父親(CGで作られた30代のジェフ・ブリッジス)が語るのですが、前作から28年も経っているのに最初数分で以降の世界観を語ってしまいます。
(実際にはクルーという身代わり作ったらある「奇跡」が起きた。とだけ語るのですが)
面倒な背景説明はさっさと終わらせてしまおうという”やっつけ仕事”感が漂います。
実はこの後もドラマ的な部分はほとんど盛り上がらず、ヴィジュアル・エフェクトとプロダクション・デザインにその労力のほとんどが費やされます。


では「つまらないか?」と聞かれれば、実はずっとこのまま見ていたいくらい、すごく心地よかったんです。この世界が好きなんですな>私


「ライトサイクル」が2層になって上下の動きが追加されたのもよかったし、「ディスクラリー」もかなり楽しめました。さらに終盤には空中戦も見せてくれます。

1つ注文をつけるとすれば、とってつけたような「父と子のドラマ」も、もう少し考えてもらえたらよかったかもしれません。
(酷評された「ロスト・イン・スペース」でも涙するくらいこのテーマに弱いので)

とにかく現代風に”燃える”世界に仕上がっていたので、ワタシ的にはかなり満足でした。

※ちなみに、部分的にIMAXで撮られているので、シーン変わり目で画角が変わるのは「ダークナイト」と同じですね。

    • -

前作の「トロン」はコンピュータの中を映像化するという革新的な試みでした。
コンピュータを扱う映画は多いけれど、その内部のビジュアル化に本気で取り組んだ作品はそれほど多くありません。
ぱっと思いつくのは「マトリックス」と「サマーウオーズ」ぐらいで、大抵は電気コードの中を駆けていくCGでお茶を濁す事が多いと思います。
上記2作もちょっと違うなと思うので、映画ではやはり「トロン」が一番だと思います。

ただアニメでこれを正面から描こうとしたものがあって、それが「ネットゴーストPIPOPA(ピポパ)」という作品です。
絵はお子様向けなんですが、ときどき内容がハードになる回もあって、漂流メール(実際にネット上には相手に辿りつけないメールが数%存在すると言われている)の話とか、不正サイトによるフィッシング詐欺の話だとか、ビジュアルもネットの中を運ばれる情報がちゃんとパケットの形をしていたりとか、なかなか興味深い作品でした。

これだけCGが全盛の時代なのだから、もっと本気でコンピュータ内をビジュアル化しようとする作品が出てきてもよさそうな気がしますが。