3時10分、決断のとき(2007)/★★★★

親父必見。イイものはイイ!
3時10分、決断のとき [DVD]
オリジナルは未見。
西部劇って苦手なのですが、これは面白く見られました。
ラッセル・クロウクリスチャン・ベイルの組み合わせだけでも面白いのに、その他の人物の配置も適切かつ巧み。
しかも、主題が父と子とくれば、もう感情移入しまくり・・・。
だったのですが、終盤の駅に向かう場面でクリスチャン・ベイルが”何の工夫もないまま”あれだけの銃弾の中に飛び出してくのがどうもにも割り切れず、そこがちょっと。
その前に北軍の狙撃部隊にいたという伏線があるのだから、狙撃で敵をバンバン撃つ。
(相手は一般市民なので殺さずに、手だけ足だけを撃つみたいな)
そんな活躍を見せる場面が欲しかったです。


もう1つ引っかかるのがラッセル・クロウが捕まる場面。
なぜか一人街に残って女を引っかけ、クリスチャン・ベイルと会話している間に、保安官たちに取り囲まれるという展開なのですが、あれだけの悪党なのにあまりにあっさりと捕まるのが割り切れない。もっとなにか理由がほしかったです。


むしろ、そんな些細な部分が気になるほどよく出来た映画だと思います。
まず、脚本がいいです。
父子の物語が主題になっているのですが、息子の最後の言葉にぐっときました。親父の映画ですよね。
また、ラッセル・クロウクリスチャン・ベイルがだんだん認め合うプロセスが丁寧に描かれているのも好感が持てます。
ここ一番で息子が活躍するのもいい。ラッセル・クロウが逃げ出す場面、汽車に乗せる場面とここ一番という時に活躍するんですよね。
あるいは、最後の場面であれだけ取り囲まれてどうやって逃げ出すのかと思ったら、その助っ人達がかえってアダとなる展開も面白い。うまいです。
最後のラッセル・クロウの行動も人によっては割り切れないと思いますが、私は納得です。むしろスカッとした言っておきます。


その他よかったところ。

  • ラッセル・クロウがイイ。絵がうまくて、聖書の言葉を口にするが、人でなしで何をするか分からない。この人が出ていると、何かやりそうでとにかく目が離せない。
  • クリスチャン・ベイルがイイ。戦争で片足をけがして以来ずっと負け犬。家族を支えているのに全然報われない感じがよく出ています。
  • 奥さんがいい。昔は美人だったが、いまは生活に疲れて亭主を軽蔑してる感じがよく出ています。
  • 子分(ベン・フォスター)がいい。この狂犬ぶりがある意味映画を支えています。
  • 息子がいい。下の子の無邪気さもいいけど、やはりお兄ちゃんの一途な感じがすごくいい。
  • その他のキャストもすべてがハマっていて素晴らしい。

監督はジェームズ・マンゴールド。「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」「アイデンティティー」の監督ですね。
演出が丁寧で誠実。この作品にはぴったりでした。


許されざる者」以来の西部劇でしたが、キチンと考えられて作られた映画はどんなジャンルだろうと面白い。そんなことを証明する映画だと思いました。