ノーカントリー(2007)/★★★★★

死神バルデムと丁寧な描写。これは傑作!
ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]
殺し屋ハビエル・バルデムの存在がやたらと不気味で出会う人を次々に理由もなく殺す。その理不尽さから殺し屋というよりは「死神」に近いという評を読んだが、まさしくそんな感じ。
また、西部の乾いた空気感がリアルに伝わり、全体的に丁寧な描写(バイオレンスも含め)にコーエン兄弟の力量を感じる。
序盤ジョシュ・ブローリンが金を見つけるまで結構長いのに、まったく飽きさせず緊張感が持続する。また犬に追いかけられ川を下る場面を延々と撮っていたり、傷を治すバルデムをずっと描写していたりなど、細かい演出の積み重ねが作品全体の厚さを感じさせる。


ただ、ラスト30分でえっ?!となるのと、その後トミー・リー・ジョーンズの話が延々と続くのがどうかと思うが、これも含めて「ノーカントリー」という映画なのでしょう。

音楽がまったくと言っていいほど使われず、それがドキュメンタリーのような緊張感を醸し出している。
すごい映画でした。