ニューオーリンズ・トライアル(2003)/★★★★

ジーン・ハックマンは意外とハイテクが似合う
ニューオーリンズ・トライアル/陪審評決 プレミアム・エディション [DVD]
エネミー・オブ・アメリカ」+「真実の行方」+「十二人の怒れる男」みたいな感じでした。


裁判とはどれほど検事と弁護士のやりとりをしても、いきつくところ陪審員の胸一つ。であれば「正義」や「真実」よりは陪審員の票を直接獲得すればよい!という発想だけでなく、それを職業にする人もいるらしい。名づけて「陪審員コンサルタント」。
その役目は陪審員を徹底的に調査し、弱みを見つけ出し、ひとりずつ"落とす"。序盤は"伝説の"陪審員コンサルタントであるジーン・ハックマンのやり手ぶりを描くが、途中から主役がジョン・キューザックレイチェル・ワイズのコンビになり、やがてこの2人の正体が判明すると同時に、裁判も意外な展開へ。


この2人とジーン・ハックマン陪審員陣取り合戦が面白く、どんどん転がる展開に目が離せない。ジョン・キューザックは「真実の行方」の エドワード・ノートンばりにとてつもなく巧いし、レイチェル・ワイズもしっかりと存在感をアピール。 ダスティン・ホフマンだけは演技合戦の輪に入れずちと寂しい思いも。


ただし、殺人事件なのになぜか第三者ですらない銃器メーカーが訴えられたり、それがとてつもない金額の賠償金訴訟だったり、メーカー側も裁判対策に予算を組んでいたり、"陪審員コンサルタント"なる職業があったりと、民主主義・資本主義の末期症状とも言えるこの裁判はどっちもどっちで、どうみても茶番にしか見えないので、最初から感情移入はできないのでありました。
陪審員を検事・弁護士双方で受け入れるとか入れないとかやってる段階ですでにアウトだと思いませんか?。


堅いようですが、こんなのをエンタテイメントしてはいけないと思います。それが現実かもしれないけど。