七人の侍/★★★★★

よくみるとプロジェクト管理のお手本でした
七人の侍 [DVD]
久しぶりに見ると、色々気づくことがありました。
たとえば、若武者の勝四郎(木村功)は百姓にならないこと。どうやら「荒野の七人」と混同していたようです。日本は身分があるから、百姓になりようがないんだよね。
もう1つ観ていて感じたのが、これは「プロジェクト管理」の映画であることです。
そこで、「七人の侍」にみるプロジェクトを成功に導く方法を列挙してみました。

  • ユーザは優秀なプロに一人出会えればよい。

百姓は侍(プロ)の見分け方や戦い方などわからない。この映画では百姓(ユーザ)が勘兵衛(志村喬)(プロ)に出会えたことが成功への最大の要因でした。

  • ユーザは予算を超えることを見越しておく。

10人と思っても、半分ぐらい(ここではさらに少なく3人)と言っておく。その後、プロが正確な見積もりを出してくれる。実際、勘兵衛はおおよその敵の数(30〜40)、地形(四方から攻められる)を聞いて、四方に1名づつ、後詰に2名、それとリーダーを含めて7名とその場で概算見積もりを行っています。

何はなくとも規模見積もり。この映画でも敵が来たとき、まずその数を数えています(北へ20騎、南に13騎、種子島が3丁と報告)。それをすぐにそれを表に(進捗表の作成)して、敵を倒したらその進捗に書き込んでいます。
これによりゴールを明確にすると同時に、メンバーの共通認識を作り出しています。さらに「もう1丁、種子島を止めたいところだな」という発言に対し、「私が行ってくる」とメンバーの自主性を引き出すことに成功している。

この進捗表は劇中何度か出てくるが、×をつけるシーンがあっても、それが正確かどうかがわかりずらい。
もっと言うと、例えば盗賊を倒すたびに、「ひとーつ」「ふたーつ」などセリフを言えばよいわけだが、この映画ではそこまではやらない。以前見たときここが一番違和感ががあった部分だった。
ただ、ここでは進捗管理が重要であることを示すためだけなのであれば、この表現でいいと思う。

  • シンボルが重要。

PMBOK(プロジェクトマネジメント体系)ガイドでは、コミュニケーションを高めるためには表彰、報酬などとともにシンボルとなるもの(マークやそれを印刷したおそろいのTシャツ)を作りなさいと謳っている。
この映画では旗がシンボルとなっており、平八(千秋実)が亡くなった後で、平八の残していった旗が揚げられる。これは"弔い合戦"であると同時にメンバー間の士気を高める重要なツールであることを示す重要なシーンになっている。

  • スコープ外の成果は対象としない

現地を見回った勘兵衛が下した結論は「離れの三軒と水車小屋は引き払う(対象外とする)」と言うもの。
守備範囲(スコープ)を見極め、スコープ外を切り捨てた英断はまさにプロの判断。また途中で離脱しようとしたメンバーには厳しい態度で臨む「三軒を守るために二十軒を見捨てるわけにはいかん。またこの村なくして三軒の生きる道はない」と厳しく断罪した態度と素早さはまさにプロマネ(プロジェクトマネージャー)中のプロマネ

  • プロジェクトは楽しむもの

娯楽映画とは言え、百姓からすると「人殺しの方法」を教わる映画。自分たちが身を守るためとは言え、その訓練風景はあまりにも明るくユーモラスに描かれている。また武士たちは鬨の声(ときのこえ)や決戦前の「お前も、ゆうべからもう大人!」の冗談などで緊張をほぐすことで、最大のパフォーマンスが得られることも知っている。
武士は戦いのプロであると同時に、メンバーの士気を高める責務を負っている。プロジェクトとは困難に立ち向かうことであるが、同時にそれ自体を楽しむことも必要。ゴールに向かうためには、そのプロセス自体を楽しむゆとりがなければ、到底たどり着けないものなのかもしれない。



って、偉そうに書いてみましたが、『「七人の侍」にみるプロジェクト管理手法』って本ありそうじゃない?


■七人の侍
参考サイト