スチームボーイ STEAMBOY/★★★

ビジュアルは凄いが...
スチームボーイ 通常版 [DVD]
19世紀半ばのイギリスという舞台設定と「蒸気」をめぐる産業革命という着眼点が素晴らしい。まるで生き物のような蒸気、19世紀のコンソールともいえるコックピット、各種メカの造形や動き、19世紀のイギリスの情景、画面の躍動感などなど。そのビジュアルは十分に満足できる。また「悪魔の棲む家」「アイランド」も手がけたスティーヴ・ジャブロンスキーの音楽も秀逸だと思う。

ところが、これだけ素晴らしいビジュアルなのに肝心のストーリーがどうもいけない。鍵となるスチームボールの位置づけがイマイチ分からないし、延々と産業革命の演説をしていると思えば、武器の売り込みのために戦争を始めてみたりするなど一体なにがしたいのかよくわからない。さらに全般的に人間関係も曖昧で主人公のレイとスカーレットもロマンスになっていないし、スティーブンスの存在も曖昧のままである。いきなりイギリスに対して戦争を始めるオハラ財団とは何者なのか首をひねるばかりである。

結局、監督としては「やりたいこと」はあったが「伝えたいこと」はなかったということだろうか。残念。