エターナル・サンシャイン/★★★★

記憶が軸の2つの恋ともう1つの恋の物語。構成が見事。
エターナル・サンシャイン DTSスペシャル・エディション [DVD]
ヒューマンネイチュア」に続く、チャーリー・カウフマンミシェル・ゴンドリーのコンビの第2弾。
自分の記憶を消した恋人に対する腹いせから、自分も相手の記憶を消そうとするが、記憶を消すなかで相手の事を思い出し、なんとか記憶を消すのを止めようとする。しかし...というお話。

ただの記憶遡行と思わせながら、実は2つの恋ともう1つの恋が同時進行でドラマが進み、記憶と現実、現在と過去が入り混じる。観ている時はかなり混乱したが、最後まで見るとどこが繋がっていたか分かってなるほどと感心する仕掛けになっている。これは脚本の構成が良く出来ているからだろう。

もう1つ良かったのははケイト・ウィンスレット演じるクレメンタインのキャラクタ。気まぐれでどこか危うくて、やたらと大胆なくせに本当は小心者。これが実にキュート。このキャラクタが終盤の告白テープと二人のセリフに繋がってくる。結局のこの一連の記憶消し騒動の発端はクレメンタインの相手を思う気持ちから始まっているのだ。泣けてくるねぇ。なお、ジム・キャリーが(役者としても)冴えないように見えるが、ここまでウィンスレットを輝やかせたのは受けに徹したキャリーの功績も大きいと思う。

監督のミシェル・ゴンドリーのイマジネーションの世界も、この題材であれば面白く見ることが出来た。

同じような題材を扱った「バタフライ・エフェクト」と比べると本作ののほうが私の好みだった。ただ、そもそも「バタフライ」は記憶というテーマで、ホラー風味のタイムスリップ物に対して「エターナル」はドキュメント風味のイマジネーション物といった感じで向いているベクトルが違うので、比べるほうがおかしいかもしれない。

ところで、あの装置は「トータル・リコール」そのまんまじゃね。