Ray/レイ/★★★★★

回想シーンが素晴らしい
Ray / レイ [DVD]
この映画を観て始めて「レイ・チャールズ」と「スティーヴィー・ワンダー」取り違えていたことに気がついた(ずっと"I Just Call to Say I Love You”がいつかかるか待っていたのだ。恥かしい!)
そのため、私は純粋に伝記映画として観たが、ファーストシーンのシーツが干してあるカットとラストの「許し」のシーンが見事にはまり、実に骨太な映画に仕上がっている印象を受けた。特に時々挟まれる回想シーンが素晴らしく、現実のシーンはまるでラストに向かうための長い間奏にさえ思えるほどだ。
その証拠に大人になったレイ・チャールズの不可解で許しがたい行為の数々も幼少の出来事やラストのセリフで納得できるような作りになっており、レイ・チャールズという人物に素直に共感することができる。
だからといって152 分という長さが退屈なわけではない。数々のエモーショナルな場面と素晴らしい音楽、J・フォックス渾身の演技、音楽映画に則った作法(新聞や雑誌の使い方、レコードを模した場面転換など)などで、飽きさせない工夫がほどこされている。

また、これほど黒人が黒人らしく撮られている映画もあまり記憶にない。おそらく徹底したリアルさを求めているからだろう。その意味で実に「真面目な映画」だと思う。

なお、このDVDはユニバーサルのキャンペーンで2005年に公開された作品にも関わらず980円と破格値で買う事ができる。そのコストパフォーマンスの高さで★一つ追加した。