バタリアン/★★★★

とても真摯な作品だった
バタリアン [DVD]
コメンタリを聞きながら再見。
ダン・オバノン」という人思ったより気弱で控えめでとても監督に向いてるとは思えないが、それが本作品ではいいほうに出ていると感じた。
本作はホラーコメディだが、細部はあくまでもリアルに描くことに苦心しており、実際に膨大な調査や資料収集を行っている。また低予算だったために随所に工夫がされており、それが結果的に他のゾンビ映画と一線を画すことになったのではないだろうか?
特に工夫されていた点として

  • 音楽が秀逸(特にオープニングクレジットとトゥナイトの歌)
  • 役者がいい(得に「ジェームズ・カレン」と「ドン・カルファ」)
  • ゾンビの動きが早い(本作品が初?)
  • ゾンビのデザインが秀逸(「タールマン」「バタリアン」)
  • 裸のおねいさんは本当に裸。

ただこれらもオバノンの脚本あってのこと。「エイリアン」の脚本でもわかるように脚本家としての定評はあったが、今回は自身の体験を元にした「苦痛」が裏テーマになっている。オバノンは語る

ゾンビはなぜ人間を食うのか?それは苦痛から逃れるためである。死とは苦痛以外の何者でもない。死から逃れるためにもだえ苦しむ姿は決して誇張でもなんでもないんだ。うそだと思うのなら病院にいって火傷を負った患者を見て見ろ

なお、低予算ゆえに現場も劣悪な環境だったようで主演者の一人(クルー・ギャラガー:社長)は撮影の終盤では監督を殴るようになったとか。「痛いからゴムのパイプを渡すように小道具に指示した」と語っており現場も地獄だったようだ。