恋愛小説家/★★★★★

見事としか言いようがない
恋愛小説家 [DVD]
ジャック・ニコルソンヘレン・ハントのちょっと変なおじさんの恋愛コメディ。Jニコルソンの偏屈ぶりやHハントの病気の子供を抱えつつ常に前向きに進む姿も素晴らしい。またこの映画のポイントになっている強盗に合って破産したホモのグレッグ・キニアも秀逸。ここまでくると素晴らしいとしか言いようがない作品。
個人的にはHハントの場面が全部いい(ウエートレスの場面や医者が来た場面、手紙を書く場面とそれを本人の前で読む場面、雨の中Jニコルソンを訪ねる場面など)すべてが名場面集として記憶される。DVDで見返すとグレッグ・キニアも意外といい味をだしていた。
ジェームズ・L・ブルックスは寡作ながら発表する作品がすべて傑作という稀有な存在。気がつくと「愛と追憶の日々」「ブロードキャスト・ニュース」「恋愛小説家」といずれもDVDを持っていた。

コメンタリを聞きながら
まずコメンタリの参加者として監督のほか主演3人がすべてそろっているのがよい。全員アカデミー受賞(またはノミネート)者ばかりだ。DVDのコメンタリでここまで豪華なのは意外と少ない。(その他音楽のハンスジマーや製作なども時々コメントをはさんでいる)
まず全編に渡って細かなこだわりが感じられる。場面の設定や演技プラン、しぐさやそのシーンの意味などが良く考えられており「ここでは人物が紹介されるので、特徴をだしてみた」「グレッグの見せ場だが、間が持つように後ろでニコルソンが細かい演技をしてる」など言われて気がつく事が多かった。
また、監督とJニコルソン(およびその他の出演者、スタッフ)のこだわり合いも伺える。「ヌードル・サラダ」の一言で大激論やピアノを弾かせるかBGMで流すかで監督と音楽以外全員の反対を押し切った話など裏話が満載。コメンタリの中でも会話がかみ合わないときもあった。
またスタジオからHハントの手紙の部分をカットされるように要求されていたが、Hハントがスタッフに漏らして大問題になったり、飛行機の機内放送用に2時間に納めるために、グレッグギニアの一番の見せ場である車中での告白シーンのカットを監督が許可したりなど現場と周りとの関係が垣間見えるのも興味深い。

そして、最後にJニコルソンが「おれはうるさ過ぎだったか?」と質問。ブルックスが答えないと「あんたにしか聞けないから聞いているんだよ」とさらにニコルソンがたたみかけ、しばらくの沈黙のあと「大丈夫だ」とだけブルックスが答える場面があった。(それ以降はだれもしゃべらない)。傑作だからといって必ずしも現場がうまく行ってるとは限らないのだ。

このDVDにはコメンタリ大賞を差し上げます