羊たちの沈黙/★★★★★

羊たちの沈黙 [DVD]
DVD特典のドキュメンタリー(約63分)を観ながら。

告発の行方(88)」でオスカー女優となったジョディ・フォスターは次の企画を探して、プロデューサーのゲイリー・ゲッツマンの元へ連絡する。トマス・ハリスの原作のシナリオ化を進めていることを知っていたのだ。この作品の前後のJフォスターは脂が乗り切っていた。この前に「君がいた夏(88)」この後は「リトルマン・テイト(91)」で初監督をし、「ジャック・サマースビー(93)」「ネル(94)」と自身のプロデュースも手がけながら「コンタクト(97)」へ繋がっていく。
また、監督は「サムシング・ワイルド(86)」でサスペンスの演出に冴えを見せていた腕を買われてジョナサン・デミが担当。レクター教授には「エレファント・マン(80)」で異常なのにどこか人柄を感じさせる演技を買われてアンソニー・ホプキンスが起用された。原作のトマス・ハリスは異常犯罪の犯人たちの性格をミックスさせつつFBI女性捜査官と”ハンニバル”レクターというキャラクタを生み出し、脚本のテッド・タリーはこれを映画風に脚色した。(タリーはこの後「陪審員」というサスペンスを生み出し、3作目の「レッド・ドラゴン」も手がけている)撮影はタク・フジモト。アメリカの片田舎の光景をサスペンスの舞台として見事に盛り上げている。製作会社はオライオン。新興映画制作会社で現場には一切口出しをしない方針も功を奏した(その前にそれほど注目もされいなかった)。また特筆べきは美術。70年代の本当に汚い風景とは違う「嫌悪感を抱かせるセットや小道具」はこの映画が初めてで、私も最初に見たときビックリした。観客からお金をもらってみせる物としては勇気がいたと思うが、この映画の主題にはマッチした(なお、この感覚がそのままデヴィッド・フィンチャー「セブン」ファイトクラブ」)に引き継がれていると思う)

インタビューでA・ホプキンスが語る。
「この作品は「マルタの鷹」「脱出」「ゴッドファーザー」と同じような作品だ。そしてその中に私がいる。」