アイ・アム・サム/★★★★★

もう号泣!。仕掛けが興味深い
I am Sam : アイ・アム・サム [DVD]
内容は「レインマン」+「クレイマー・クレイマー」のような話で精神的に障害を持つ父親サム(ショーン・ペン)が子供の親権を裁判で争う。弁護士として目をつけられた?のがリタ(ミシェル・ファイファー)で仲間への見栄から弁護を引き受けることになる。本当はサムを救うために関わった人々がやがてサムに救われていることに気が付いてゆき・・・。

泣かせる場面は多いが、特に「アニーの証言」「サムの証言」「リタの告白」「リタへのアドバイス」「ランディの告白」など涙が止まらない名場面(名台詞)が満載。(ちなにみ一緒に見ていた息子(7歳)も大泣きしてました)いくらでも語りたくなる映画でもある。

ビートルズの音楽を使った時点で既にずるいとは思うが、ダスティン・ホフマンのマネにはならずにレインマンを思わせるショーン・ペンのうまさ(さぞむずかしかっただろう)とダコタ・ファニングの愛らしさにすっかり参った。また脇を固めるアニー(ダイアン・ウィースト)やランディ(ローラ・ダーン)のうまさも特筆物。その中でも特に気に入ったのが子供とうまくいかない母親弁護士役のミシェル・ファイファー。こういった役は今までの延長線上にあるとは思うが、ホントうまいと思う。また最後のランディの場面は「ディープエンド・オブ・オーシャン」でミシェル・ファイファーもそっくりのシチュエーションを演じている。

監督(及び/製作/脚本)はジェシー・ネルソン(「ストーリー・オブ・ラブ(製作/脚本)」「グッドナイト・ムーン(脚本)」)で前2作から見違えるような出来具合。特に登場人物に障害者仲間を配し、適度に笑いを入れたのもいい。(腕が上がったのかな?)またセリフがよく出来ていて、最初に「えっ!」と思わせて泣かせるパターンが効果的に使われている。

また、面白いのは前半はブルーの寒色系を多く使い、ラストはオレンジ(暖色)の照明を使っていることとなぜか手持ち風にカメラを動かしているところ。(DVDでは監督の音声解説があるようなのでチャンスがあれば購入してみたいが松竹だから安くならないっぽい)
これによってドキュメンタリーでもありファンタジーでもある雰囲気が出ていて、他のドラマとは一線を画している(ミシェル・ファイファーがマシュマロを一人で食べている場面はエリン・ブロコビッチなどにも通じる)

なお、思い入れのある分「ブラックバード」の使われ方には泣かされた。

掲示板などを見ると最後に勝訴するところが見たかったとか、これで本当に将来大丈夫なの?という意見を見かけるが、私はこれでいいと思う。将来どうなるかなんて誰も分からない(それは普通の家庭でも同じ事)し、福祉局の人だって意地悪でやっているわけではない(それが彼らの仕事なんだから)。みんなルーシーの幸せを望んでやっていることなんだから勝ちも負けもない。大事なのは今はルーシーとサムが一緒に暮らせて、助ける人たちが周りにいるってこと。それで十分だと思う。

こちら(http://www.unzip.jp/cinema_p/01/index.html)にながーい評論がありました。読んでもよく分からないのが難だが、気になったのは「2冊の絵本」「ビートルズ」そしてこのジャンル?の映画群(『クレイマー、クレイマー』(79)『レディバードレディバード』(94)『ストレイト・ストーリー』(99)『代理人』(95)と監督の処女作『コリーナコリーナ』(94)など。ためになります。