プリティ・プリンセス/★★★

アン・ハサウェイの魅力満載。でも感情移入できない。
プリティ・プリンセス [DVD]
みんなから無視され、容姿もさえない女の子がある日「プリンセス」だと告げられ、ふさわしくなるべく特訓を受けている間に自分自身が変わっていくという学園物。

少女漫画のような展開は別として、口下手でロッククライミングが上手でスケーターで学校に通い、自分の車を持っていて時々無免許運転している少女像がイメージできないのとアン・ハサウェイ自身が全然口下手に見えなかったことで、私は最後まで感情移入できなかった。また話の展開にもっと緩急が欲しかった気もする。
見ていてすぐ気が付くが「マイフェアレディ」と似たような展開なので、教える側のクラリス女王(ジュリー・アンドリュース)と教えられる側のミア(アン・ハサウェイ)の対決がもっと鮮明にならないと面白くならないのに、祖母と孫の関係なので対決にならず、身内のぼやきにしかならない。これでは弱すぎる。

ただ、部分的に光る場面はある。まずアン・ハサウェイのコメィエンヌぶりが楽しい。とにかく表情がよく変わるし、転ぶシーンが抜群に巧い(本作でもそれがウリになっている)また最初のボサボサ髪からの変身が素晴らしく最後はローマの休日ばりのプリンセスに変身する。
また、総じて女性陣がよい。親友のリリー(ヘザー・マタラッツォ)のキャラもいいし、敵役なのに歌のシーンがやたらと光るマンディ・ムーアもいい。もちろんジュリー・アンドリュースは文句なしだ(女王には見えないけど)。男性陣でよいのはゲイリー・マーシャル組常連のヘクター・エリゾンドプリティ・ウーマンのホテルの支配人!)ぐらいで、主人公を見守るマイケル(ロバート・シュワルツマン)は全然だめ。同じ兄弟のジェイソン・シュワルツマン天才マックスの世界」を見習って欲しい。

なおDVDでは監督のゲイリー・マーシャル("プリティ"シリーズ)が丁寧に解説してくれるが、「若い子はこれがいいらしい」的発言を聞くと、10代には受けるのかもしれないとは思った。