ふたり/★★★★

小品ながら記憶にのこる作品
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ロバート・ワイズ監督ということで見始めたが、つい引き込まれて最後まで観てしまった。
ベトナム脱走兵が自首するためにパリへ向かう列車で美しい女性モデルと知り合い、恋に落ちる。求め合う二人だがやがて別れのときを迎える。
マンネリとも言えるストーリーと、ほとんど主役の二人芝居にもかかわらず、キャラクタの魅力と演出の力でぐいぐい引き込む。奇を衒ったものもなく極めてオーソドックスなのに画面から目が離せない。これが「演出」というものだとつくづく思った。
突っ張っているが実はもろいものを秘めている女にリンゼイ・ワグナー(「バイオニック・ジェミー」)。刑務所に入ることを覚悟しながらつい引かれていく男にピーター・フォンダが扮している。特にピーターフォンダの演技とも素ともつかない冷たい雰囲気がストーリーにマッチしドキュメンタリ風にドラマを盛り上げる。
70年代のファッションやヨーロッパの風景がなぜか懐かしく感じさせる。またラストのあっさりとした幕切れがかえって見る側に余韻を残し、忘れられない佳作になった。
こういった作品はなかなかDVD化されないし、吹き替えも収録されない事が多い(二人芝居だから吹き替えのほうが有利)。見終わってHDDに録っておけばよかったとはげしく後悔した。