猟奇的な彼女/★★★★

東京ラブストーリー」ミーツ「ウエス・アンダーソン」
猟奇的な彼女 [DVD]
ヒロイン(チョン・ジヒョン)のキャラクタ(元気でキュートだが奥に脆いものを秘めている)は赤名リカを連想させるし、いくつかの場面(元彼の存在、終盤の電車の乗り降り)は東京ラブストーリーを思い起こさせる。また、力の入った劇中劇は「マックスの世界」に通じるものを感じた。ただしこれらの連想は決してこの作品を貶めるものではない。

始めの10分ぐらいの掴みは大爆笑(多少クドいきもするが)。そこから数々のエピソードのつるべ打ちにあっという間に前半戦が終了。後半戦も快調で彼女のキャラクタがどんどん深みを増し、お見合い場面で涙腺がゆるゆる。
ただ延長戦はもう少し詰めたほうが逆に余韻が残ったのではないか?。これがハリウッド映画であれば、木のエピソードはカットしてすぐに再会のシーンにつなげると思う。ちなみに伏線の効いたオチは秀逸。

やはり本作品で一番の殊勲賞は主人公のキョヌ(チャ・テヒョン)だろう。困り顔の似合うキョヌのリアクションに観客は笑い、いつの間にか物語に引き込まれる。
その他幾つか感想

  • なぜか移動シーンが多い。しかも円移動で回り込むカットが多いのはなぜか?
  • ヒロインは最初はもっとブスに見せるべき。でないと彼女に近づきたくない気持ちに感情移入できない。
  • これほど気弱なのにナンパする度胸があるのが謎。
  • 「ブッ殺されたい?」を筆頭に彼女のセリフが見事。
  • 脱走兵のエピソードがイマイチ。オチはいいけどね。

こう考えると突っ込みたいところは満載だが、それだけ語りたくなるシーンも多いということなのだろう。

後半で「カノン」が効果的に使われいてドラマを盛り上げている。