ベスト・フレンズ・ウェディング

見た目よりずっと深い味わい
ベスト・フレンズ・ウェディング [DVD]
ミュージカル風だがミュージカルでない。コメディなのに主人公のやっている事が笑えない。ドラマなのに終わりに救いがない。もっと軽い演技か演技力のない女優であれば笑える場面もキチンと演じてしまったがゆえに、観客の感情移入を拒む(同性からはなおさらだろう)ような雰囲気がある。
自分の好きな人を取られまいと見栄を張り、ウソをつき、汚いことをし、もがき、苦しみ、結局好きな人に全てを告白する破目になり結ばれない。ところが最後に自分の本当のパートナーを見つけることができたのに、その相手はゲイで普通の恋愛もできないし結婚もできない相手だったという本当に救いようのない話である。
踊りと歌がドラマを彩り、脇が盛り立てて作品を華やかなものにしているのに、作者(脚本)の意地悪さや冷たさが百凡のコメディと一線を画したドラマとして昇華され、ちょっと変わった味わいになっている。(キャメロン・ディアスのカラオケ場面のようなテイストは他ではお目にかかれない)

ジュリア・ロバーツのラブコメへの決別とも取れるこの作品は、ちょっと老けた自分をさらけだすと共に実に見事な輝きを放っている。
深いなぁ