ブロードキャスト・ニュース/★★★★★

結末が苦い大人のドラマ。ジェームズ・L・ブルックスの大傑作!
ブロードキャスト・ニュース [DVD]
寡作だが発表作はみな傑作ぞろいのジェームズ・L・ブルックス監督作品。
抜群に頭が切れワシントン支局の敏腕女プロデューサーのジェーン(ホリー・ハンター)とひそかに恋ごろを抱く、頭はいいが毒舌でつい敵を作ってしまうアーロン(アルバート・ブルックス)はどんなことでも語り合う親友同士という関係。そこに優しさと甘いマスクを持ち、TV画面では抜群のアピール度を持つトム(ウィリアム・ハート)がやってきた。トムはジェーンの切れ者ぶりにあこがれ何度かアタックするうちにジェーンも惹かれている自分に気が付く。しかしトムはジャーナリストとしての越えてはならない一線を越えてしまう。その事を知ったジェーンは・・・という話。
TV界を舞台に活躍する敏腕プロデューサーの生き生きとした姿がよく。この役を与えられたホリー・ハンターは見事になりきって素晴らしい。またTV放送という緊張感の中で演じられるエピソードの数々は見るものをぐいぐい引き込んで全く飽きさせない。こうゆうのを「話術」というのだろう。
今回見直してラストの台詞がとても苦いのに気が付いた

アーロン「僕はこの町を出て、結婚して子供を持つ」
ジェーン「それは私を一人にするということ?」
アーロン「そしてこの街に帰ってきて君を見て言うんだ『この太ったハイミスめ!』」
ジェーン「決して私を許さないということね」
アーロン「そうだ」
ジェーン「・・・」
7年後、結局アーロンは言葉どおりに子供を連れて戻ってくる。再会する3人。けれどトムは距離を置かれたまま、近況を語り合うアーロンとジェーンから遠ざかっていく。

結局トムに惹かれたジェーンを許せなかったアーロンのほろ苦い想いがラストに余韻を残す。

セリフが多いのでこれは吹き替えで見たほうがいい。DVDではTV放送時の吹き替え(一部字幕)を収録しており、確かに吹き替えではこれがベストだと思う。
音楽はビル・コンティだが、まるでデイヴ・グルーシンのような軽妙なスコアを聞かせ、上品な大人のドラマに花を添えている。