Mr.インクレディブル/★★★★★

ヒーローを現実のものとして描く007映画!。これは大傑作だ!
Mr.インクレディブル [DVD]
pixserが初めて外部の監督(ブラッド・バードアイアン・ジャイアント」)を招いて作った作品。

かつてスーパーヒーローとして活躍していたMr.インクレディブル(ボブ)も訴訟に負けて(実にアメリカ的)一般社会に溶け込もうとしているがストレスがたまるばかり。
子供たちも自分のパワーを出せなかったたり、普通の恋愛が出来ないと信じたり不満だらけだが、かつてイラスティガールとして活躍していたインクレディブル夫人(ヘレン)だけは家族との生活を望んでいた。
そんなある日ボブにスーパーヒーローとしてのオファーが来る。その最初の仕事をこなした後は充実の日々を過ごすが、実は敵の罠だった・・・。

監督の前作にあたる「アイアン・ジャイアント」は絵もさることながらストーリーテリングの良さが光る作品であったが、こちらも期待を裏切らない見事な出来。その分大人向けに出来ており、ドリームワークス的ともとれる内容だが、これまでのピクサーの技術の蓄積と娯楽性がミックスされ上品で格の高い作品となった。

以下感じたことをメモ。

  1. 007が下敷きになっているのは秘密基地の様子や音楽が示している。ただ主人公がくたびれている設定は「ネバーセイネバーアゲイン」家族が活躍するのは「トゥルーライズ」に近い。
  2. 衣装が途中で変わるのはヒーローというより一人の人間としてみて欲しいという監督のサイン(スパイダーマンがその好例)オープニングの時間を気にしながら事件を解決していく姿はスパイダーマン2でもヒーローを活躍しすぎてバイト先を首になるエピソードに通じるものがある。実に今風のヒーロー物と言える。
  3. デフォルメされた体型が実写よりはアニメを志向しているため、人間をCGで描いても違和感がない。その代わり服装や髪の毛にリアリズムを持たせている。とくに衣装の繊維感は実に見事。
  4. 家族のスパイ物といえば「スパイ・キッズ」。島にとり残された主人公を家族が助けに行くストーリーは「2」が一番近い。
  5. ヒーロー物なのに戦いはアンチヒーロー。自分の得意技で敵はやっつけるがオールマイティではない。海に投げ出された家族が力をあわせて島に上陸するあたりや終盤のロボットに立ち向かう場面はヒーローというより特殊な力を持った者(ミュータント)たちが力をあわせて敵に立ち向かう姿に近い。
  6. インクレディブル夫人の潜入シーンで3つのドアに挟まれるギャグは大笑い&色気も感じさせてくれる。
  7. 地味だがMr.インクレディブルの基地への潜入シーンは「ピント」の必要ないCGならではの醍醐味を感じる(遠景の警備兵に石を投げて倒し、その物音にきがついた別の警備兵が確かめに行った隙に基地に忍び込む様子を1カットで見せる)
  8. ミラージュはキャラも含めてまさにボンドガール。実写なら露出度が高い服をきていただろう。猫目の色気にぞくぞく。
  9. 欲を言えば印象に残るようなテーマ曲が欲しかった。ボンド映画にテーマ曲は必須でしょ!
  10. 吹替えの三浦友和は映画に溶け込んだ分損をしているが、黒木瞳は映画のキャラとピッタリあった分声でも映画を盛り上げる効果を出している。この2人を選んだのは大正解だと思う。
  11. 頭でっかちの造形もあるのだろうが人形劇を見ているな錯覚に襲われた。早くチームアメリカが見たいゾ!。
  12. フロゾンの出番は少ないがおいしい役どころ。ラストの戦いは興奮+大爆笑だった。
  13. 2が出来そうな展開だが無理かな?もし出来るのであればバイオレットをメインにお願いしたい。というのも夫婦愛に焦点が当たってるので子供たちのエピソードが薄い感じを受ける。特にバイオレットは惜しいキャラなので2はぜひ主役でお願いします。