冬の華(1978)/★★★★★

ひたすら気持ちいい
冬の華 [DVD]
BSで放送していたのを視聴。(30分ほどカットされているようです)


ファーストシーン。
池部良の「ガキがいるんだ。見逃しちゃくれねぇか」からの刃傷劇。
海岸とか風車とか死んだ父親のほっぺを押す演出とかクサいのは百も承知で持っていかれました。
「男」の映画です。切った張っただけで無い本当の男の映画だと思いました。
基本は「ヤクザ版あしながおじさん」ですが、この池上季実子の可憐さ。何のてらいもなく「おじさま」と呼ぶクサさも含めて男のロマンです。
その他にも

  • 「俺はアニキの代理でやっただけッス」と語る田中邦衛の舎弟感。
  • 「あいつ(息子)に言わせると、おめえと南だけが唯一信用がおけるって言うんだ。どうだ、一家をはる気あるか?」と誘う親分に「実は・・・」と口ごもるだけで、「そうか、足を洗うか。潮時かもしれねぇな」と認める分かりのよさ。
  • 「兄貴、いつ俺たちをひきとってくれるんです、山辺の叔父貴に、いつまで俺は預けられぱなっしになってるんです・・・、俺は、兄貴につきたいんです、けど山辺組の預かりの身になっている以上・・・・俺は・・・・」と訴える舎弟

気持ちいい。とにかくセリフが気持ちいい。
脚本は倉本 聰。
観ていても倉本聰の脚本が浮かび上がってくるような気がします。シナリオ読みたいな。


監督は降旗康男健さんの部屋がやたらと無機質で、物が床にそのまま置いていあったり、最後の手紙を書いている途中に本人が目の前に立っていたりと演出が冴えています。
出演陣も皆いい。
舎弟の田中邦衛三浦洋一寺田農。親分の藤田進。叔父貴の小池朝雄小林亜星池部良。関西組の岡田眞澄。若の北大路欣也夏八木勲。父親の大滝秀治
ヒロインは池上季実子。気のいい女に倍賞美津子


音楽はクロード・チアリ。図書館から借りてきたサントラ聞きながらこれを書いていますが、実際には2〜3曲ぐらいを使いまわしてます。哀愁たっぷりのテーマ曲もいいのですが、これぞヤクザ映画というようなM−11が最高。


とにかく観ていて気持ちがいい。そんな映画でした。こんな映画が観たかった。文句なし5つ星です。

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■予告編

予告にはクロードチアリのメインテーマが使われていませんでした。


■クロード・チアリ 冬の華

哀愁たっぷりのギター。ほぼ全編に渡ってこれが流れます。


■「冬の華」〜哀愁に満ちた男の性分(サガ) 取手物語〜取手より愛をこめて
http://toridestory.at.webry.info/200706/article_8.html
詳しく説明されています。